この体験談は、HOGOINU LAND代表自身の記録です。
里親としての原点にある、我が家の元保護犬
HOGOINU LANDという取り組みの原点には、我が家で暮らす元保護犬・ニーナの存在があります。これまで簡単にしか触れられなかったニーナの背景と、その経験がこの活動にどうつながっているのかを、あらためてお伝えしたいと思います。
福岡で起きた多頭飼育崩壊
ニーナは、2019年に福岡県で起きた多頭飼育崩壊の現場から保護されました。総80頭もの犬たちが、衛生状態が悪化した劣悪な環境で生活していたと報じられ、期限までに行き先が決まらなければ、全頭が殺処分される可能性があったケースでした。

全国の保護団体やボランティアの方々が連携し、短期間でのレスキューが行われ、ニーナもその中の一頭として命をつなぐことができました。

ご縁があり、ニーナを迎え入れることになりましたが、最初の彼女は、いわゆる「すぐに慣れる保護犬」ではありませんでした。
家に来たニーナは「何もできない」状態だった

ずっとケージの下にうずくまり、餌もまず食べない状態が続き、物音がしたり触ろうとすると体を震わせ、目を合わせることもありませんでした。正直に言えば、「この選択は、この子にとって本当に良かったのか」と自問する時間もありました。
「怖がらせる」のではなく、「待つ」ことを選んだ日々
それでも、無理に慣れさせようとせず、距離の取り方も関わり方も、すべてニーナのペースを優先して過ごす中で、少しずつ変化が訪れました。
ニーナは、都内近郊のドッグランでは、他の犬や人にどうしても慣れることができませんでした。緊張して動けなくなったり、距離を取ろうとして固まってしまうことも多く、「外で思いきり遊ぶ」という姿は、なかなか想像できない状態でした。
忘れられない転機となった、ある旅先での出来事
そんな中、ある時、地方へ旅行に出かけ、宿に併設されていたまるで森の中にあるようなドッグランを訪れました。特別なことをしたわけではありません。ただ、十分な広さがあり、視界が抜け、人や犬との距離を自分で選べる環境でした。すると、それまでとはまったく違う反応を見せたのです。
突然、嬉しそうに走り出し、先住犬であるシュナウザーと、自然に遊び始めました。

「足りなかったのは、環境だった」と気づいた瞬間
「この子に足りなかったのは、慣らし方ではなく、環境そのものだったのかもしれない」そう感じた瞬間でした。この体験をきっかけに、ニーナは少しずつ、外で思いきり遊ぶということに慣れていきました。

不安を抱えた犬にとって、本当に必要なもの
この変化を間近で見てきたことで、私たちは強く実感するようになりました。それは、不安や過去を抱えた犬にとって、「慣らし」や「社会化」以前に、安心できる”環境”がどれほど重要かということです。
都心や住宅地での慣らしは、人にも犬にも、思っている以上の緊張や負荷がかかります。一方で、広さがあり、人や犬との距離を自分で選べる場所では、犬は驚くほど自然に、自分から一歩を踏み出すことがあります。
HOGOINU LANDは、こうした実体験を多くの里親さん、また保護犬を迎えようと考えられている方々に届けたいという思いで始めました。そして、同じような経験をしている里親さんが、孤立せず、安心して悩みや時間を共有できる場所として。
あなたの体験談も募集しています。里親さん・預かりボランティアとしての気づきや、日々の暮らしのことを、ぜひ聞かせてください。


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