この体験談は、HOGOINU LANDの体験談募集フォーム「シェアWan」を通じて、深谷さんからお寄せいただいたものです。
HOGOINU-DATA
犬種:チワワ
出身:繁殖引退犬
保護の経緯:繁殖の現場を引退したのち、保護団体で里親募集。オンライン譲渡会を経て、千葉県の深谷さん宅へ
お迎え時の年齢:不明
現在の年齢:4歳(推定)
先に、いまの姿を書いてしまいます
しゅうまいは、いま、車のドライブボックスから舌を出して笑い、家の中では尻尾をふわりと立てて歩き回っています。

でも、深谷さんの家に来たばかりのころは、「とにかく感情が分かりませんでした」という子でした。
先代を看取ったあとに
深谷さんご夫婦は、もともと一緒に暮らしていたチワワを16歳目前で看取り、ペットロスの中にいました。
「すぐに新しい子を迎える予定はないけど、ご縁があればと保護団体をインスタでフォローしました」
数か月後、繁殖引退犬として募集がかかったのがしゅうまい、「しゅうちゃん」でした。
「インスタの写真や動画で見るしゅうちゃんは、どれも俯いて不安そうでした」
先代を亡くしてまだ間もない。こんなに早く新しい子を迎えていいのか。深谷さんは悩んだといいます。背中を押したのは、先代がお世話になった動物病院の先生の言葉でした。
「前の子が亡くなった時、深谷さんの家族になれたこの子はとても幸せだったね、またご縁があった時は、是非迎えてあげて幸せな子増やしてね。と言っていただいたのを思い出し、すぐに保護団体さんに連絡を入れました」
大阪から千葉へ
保護団体は大阪、深谷さんの住まいは千葉県。譲渡会はオンラインで行われ、譲渡が決まると、ご夫婦は車で大阪まで迎えに行きました。
こうして遠く離れた場所にいる一頭と家族がつながるのは、保護団体のスタッフが写真や動画で日々の様子を伝え、オンラインで面談の場を整えてくれたからでもあります。一頭の後ろには、そこに至るまで世話をしてきた人たちがいます。
眠り続けた1週間
「おうちに来てから1週間程は、用意したサークル内のベッドでひたすら眠り続けていました」
「起きてもサークルの外へ出れず、近づいても喜びもしないし、怯える様子もない、おもちゃやご飯にも興味がなく、とにかく感情が分かりませんでした」
怖がるわけでもなく、喜ぶわけでもない。感情の手がかりがない状態は、迎えた側にとっても心細いものです。トイレの概念もなかったため、サークルの中全体にトイレシートを敷いていたそうです。
深谷さんは、このとき覚悟を決めたといいます。
「人や環境に慣れるまで年単位での時間がかかるかもしれないと覚悟をしました」
「なにか特別なことはしなかったです」
転機は、意外なほど静かに訪れました。
「なにか特別なことはしなかったです。起きてる時にたくさん名前を呼んで、褒めてを繰り返していました」
家に来て10日ほどで、しっぽを振ってくれるようになりました。3週間ほどで、家の中を走って遊ぶようになりました。

そして1か月半ほど経ったある日。
「わたしの誕生日の日に初めて膝に飛び乗ってくれたのがとても嬉しかったです」
年単位かもしれない、と覚悟していた変化が、数週間のうちに少しずつ表れた。もちろん、これはしゅうまいのペースであって、すべての繁殖引退犬がこの速さで変わるわけではありません。水を飲むまでの4日間、しっぽを振るまでの2年 ― 繁殖の現場から来た「はな」のように、家族に触れさせてくれるまで年単位かかる子もいます。大切なのは、速さではなく、「名前を呼んで、褒める」を、その子が応えてくれるまで淡々と続けたことなのだと思います。

感情を出してくれるようになったこと
深谷さんは、保護犬と暮らしてよかったことをこう書いています。
「しっぽを振るのも、吠えるようになったのも時間がかかったけど、どんどん感情を出してくれるようになったことがとても嬉しかったです」
「吠えるようになった」ことまで嬉しい、というところに、この体験談のすべてがあるように思います。感情が分からなかった子が、喜びも、要求も、外に出せるようになった。俯いて不安そうだった募集写真の子が、いまはドライブボックスから舌を出して笑っています。
先代の子が幸せだったように、しゅうまいも。深谷さん、素敵なエピソードをありがとうございました。
あなたの体験談も募集しています。里親さん・預かりボランティアとしての気づきや、日々の暮らしのことを、ぜひ聞かせてください。
写真提供:深谷さん


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