こんにちは、HOGOINU LANDです。今週も「保護犬」にまつわるニュースの中から、気になったものをいくつかご紹介します。記事の詳しい内容は、それぞれのリンク先でご覧ください。
今週の要点:今週は、保護犬猫の「実態」を数字で伝える調査結果と、「物語」を写真で伝える企画が目立った一週間でした。全国調査でわかった保護団体の資金不足の背景と、写真や映像を通じて保護犬猫の変化を伝える二つの取り組みから、迎える側が知っておきたいことを考えてみます。
保護団体の半数近くが「保護依頼が増えた」 全国調査でわかったこと
ペットケア事業を展開する犬猫生活株式会社(東京都新宿区)が今年6〜7月、全国の保護団体約530団体にオンラインでアンケートを実施し、120団体から回答を得てまとめた「全国犬猫保護活動実態白書2026」について、日本経済新聞が9月23日に報じました。過去1年間で保護の依頼や持ち込みが「増えた」と答えた団体は48%(58団体)にのぼり、要因(複数回答)としては「高齢飼い主の入院・死亡による飼育放棄」が87.9%で最多、「多頭飼育崩壊の発生」が65.5%、「野良犬猫の繁殖」が51.7%と続きました。環境省によると、都道府県などが2024年度に引き取った犬猫は計39,409頭で前年より減少していますが、行政が引き取らない分を民間団体が引き受けている実態が浮き彫りになった形です。
出典:日本経済新聞「犬猫の保護依頼「増えた」半数 民間の120団体に調査」・2026年9月23日
HOGOINU LANDの視点:高齢の飼い主が入院したり亡くなったりしたことで、それまで飼われていた犬が行き場を失う、というケースは、私たちDOX FIELDが保護犬の預かりボランティアを行う中でも、たまにご相談をいただくことがあります。「もしも」のときに、その子をどうするかを家族や友人と話し合っておくことは、保護犬を迎える・迎えないに関わらず、すべての飼い主にとって大切な備えです。逆に、こうした事情で保護団体を経由してくる犬を迎える場合、その子にとっても急な環境の変化であることが多く、慣れるまでに時間がかかることもある、という前提を持っておくとよいでしょう。一般家庭からの引き取りで保護団体にやってくる犬の背景や迎え方については、一般家庭からの引き取り(飼い主都合)犬を迎える準備【出自別ガイド】にまとめています。
「いのちつないだワンニャン写真動画コンテスト」結果発表(今週のニュースではないけれど)
犬や猫の殺処分ゼロを目指す公益財団法人どうぶつ基金(兵庫県芦屋市)が主催する「いのちつないだワンニャン写真動画コンテスト2026」の結果が、9月11日に発表されていました。全国から1,090点の応募があり、環境大臣賞、大阪府知事賞、理事長賞2点、審査員特別賞に加え、入選26点が決定しています。応募条件は「殺処分を逃れた犬や猫たちがモデルであること」で、行政やボランティアから譲渡された犬・猫、地域猫やさくらねこが主役の写真・動画コンテストです。環境大臣賞の受賞作は、元繁殖引退犬が新しい家庭に迎えられてから2年をかけて、安心した表情で散歩できるようになるまでを写した作品でした。受賞・入選作品30点をすべて展示する作品展が、10月30日(金)・31日(土)に大阪市中央区のOsaka Metro 本町ビルで開催されます。
出典:PR TIMES(公益財団法人どうぶつ基金)・2026年9月11日
HOGOINU LANDの視点:環境大臣賞の作品メッセージにあった「2年前は外の世界を知らず、人の足にも怯えていた」という一文は、迎えてすぐの保護犬にはよくある姿です。2年という時間をかけて表情が変わっていく様子は、迎える前に知っておくと、最初の数週間や数か月をあせらずに見守る助けになります。とくに繁殖引退犬は、人との暮らしそのものに慣れていないところからのスタートになることが多く、迎え方や向き合い方が一般的な保護犬と少し異なります。繁殖引退犬を迎える際の準備については、繁殖引退犬を迎える準備【出自別ガイド】にまとめていますので、あわせてご覧ください。
パナソニック、保護犬猫が「出会うまでの物語」をたどる写真展を10月開催
パナソニック株式会社は9月24日、東京・南青山の「LUMIX BASE TOKYO」にて10月17日(土)・18日(日)に保護犬猫譲渡会 写真展「一護一会(いちごいちえ)」を開催すると発表しました。写真家・犬丸美絵氏らが撮影した、保護犬猫が保護されてから新しい家族と出会うまでの道のりをたどる作品を展示するほか、現在里親を募集中の犬猫のプロフィール紹介、犬猫をかわいく撮影するコツを紹介するカメラ入門講座も行われます。会期にあわせ、協力した動物保護団体へ10万円の寄付も予定されているとのことです。パナソニックは2022年から保護犬猫譲渡会を続けており、これまでに3万人以上が来場、400頭以上の譲渡につながっているといいます。
出典:PR TIMES(パナソニック株式会社)・2026年9月24日
HOGOINU LANDの視点:この写真展が、里親募集の情報だけでなく、そこに至るまでの時間を写真で見せる構成になっている点が印象的です。保護犬を迎えるというと、迎えた瞬間や迎えたあとの暮らしに目が向きがちですが、実際には、保護されてから新しい家族に出会うまでの間、その犬を支えているボランティアや職員の時間があります。迎える側として知っておきたいのは、この「見えない時間」の存在です。迎えてすぐの犬が緊張したり警戒したりするのは自然なことで、慣れるまでには相応の時間がかかります。迎えてからの過ごし方の基本は、保護犬の慣らし・トラウマケアの基本【迎えてからの過ごし方ガイド】にまとめていますので、あわせてご覧ください。会場は東京都内で、開催までまだ3週間ほどありますので、お近くの方は予定に入れておくとよさそうです。
今週のニュースから ― 数字と写真で伝わる、保護犬猫のいま
今週取り上げたニュースを並べてみると、保護犬猫をめぐる情報が、大きく二つの伝え方に分かれていることに気づきます。ひとつは犬猫生活の調査のような「数字」による伝え方、もうひとつはどうぶつ基金の写真動画コンテストやパナソニックの写真展のような「物語」による伝え方です。
犬猫生活の調査は、保護団体の48%が保護依頼の増加を実感し、高齢化や多頭飼育崩壊がその背景にあることを数字で示しました。数字は、個々の事情を積み上げて全体像を見せてくれる一方で、そこに写っている一頭一頭の表情までは伝えません。その隙間を埋めるのが、どうぶつ基金の写真動画コンテストや、パナソニックの写真展のような企画です。どうぶつ基金の環境大臣賞受賞作は、元繁殖引退犬が2年かけて安心できる表情を取り戻すまでの物語でした。パナソニックの写真展も、保護犬猫が新しい家族と出会うまでの道のりを写真でたどる構成になっています。数字が「どれだけの犬猫が保護を必要としているか」を伝えるものだとすれば、写真や物語は「その一頭がどう変わっていくか」を伝えるものだと言えそうです。
保護犬を迎えることを考えている方にとって、この両方を知っておくことには具体的な意味があります。数字を見れば、自分が迎えようとしている犬が、多頭飼育崩壊や高齢の飼い主の事情から来た可能性があることを想像できますし、写真や物語を見れば、迎えてすぐは緊張していた犬も、時間をかければ表情が変わっていくことがわかります。迎えたあとの「慣らし」の期間を、悲観せずに見守るための心の準備にもなるはずです。
高齢化にともなう飼育放棄や、多頭飼育崩壊といった、保護団体の負担を増やす要因は、今後も簡単にはなくならないでしょう。だからこそ、数字で実態を知り、写真や物語でその先にある変化を知る。両方の情報に触れることが、保護犬を迎える人にとっても、まだ迎えていないけれど関心を持ち続けたい人にとっても、大切な一歩になると、HOGOINU LANDでは考えています。私たちDOX FIELDも、保護犬の預かりボランティアや保護犬フレンドリーの会員制ドッグランの運営を通じて感じることを、これからも一つずつお伝えしていきます。
なお、令和8年熊本地震の被災ペット支援については、9月27日に休日譲渡会と、避難者向け「ペットの健康相談会」第6回(宇城市)が予定されていましたが、本記事作成時点では、実施結果は熊本県動物愛護センターの公式サイトにまだ掲載されていませんでした。また、9月20日〜26日の動物愛護週間についても、9月25日の動物愛護管理功労者表彰式のあとに見込まれる各自治体の実施報告は、環境省のサイトでは今週まだ確認できませんでした。いずれも動きが確認でき次第、あらためてこちらでお伝えします。


コメント