今週のピックアップニュース(2026年9月14日号)

今週のピックアップニュース 2026年8月17日号|HOGOINU LAND 今週のピックアップニュース

こんにちは、HOGOINU LANDです。今週も「保護犬」にまつわるニュースの中から、気になったものをいくつかご紹介します。記事の詳しい内容は、それぞれのリンク先でご覧ください。

今週の要点は「保護犬の背景にある人の事情」です。保護活動の現場を対象にした全国調査、福祉と動物愛護の連携をテーマにした研修会、地震の影響で形を変えた譲渡会、繁殖施設からの犬の保護、災害時の動物救護に長年取り組んできた方々への表彰。切り口は違いますが、どれも「犬が保護される理由は、人の暮らしの側にある」という一点でつながっています。迎える側にとっては、目の前の犬がどんな経緯でそこにいるのかを知る手がかりになる一週間でした。

民間の保護現場を対象にした全国調査、「実態白書2026」が公開

ペットフード事業などを手がける犬猫生活株式会社が、全国120の保護団体・個人を対象にした調査をまとめた「全国 犬猫保護活動 実態白書2026」を公開しました。行政の統計では収容数・殺処分数とも減少が続く一方で、民間の現場では約半数が「この1年で保護依頼が増えた」と答えています。保護が必要になった要因として最も多かったのは「高齢飼い主の入院・死亡」(87.9%)で、「多頭飼育崩壊」(65.5%)がそれに続きました。また、譲渡までの滞在期間の中央値は6か月、1年以上シェルターにいる犬が全体の半数近くにのぼるという数字も示されています。

出典:PR TIMES(犬猫生活株式会社)・2026年9月8日

HOGOINU LANDの視点:この調査で注目したいのは、保護犬の「入口」が変わってきていることです。かつては野犬や野良犬の子が中心でしたが、いまは飼い主の高齢化や入院、多頭飼育の破綻といった、人の生活の変化から保護に至る犬が増えています。こうした犬は、人と暮らした経験がある一方で、急に環境が変わった戸惑いや、長く適切なケアを受けられなかった影響を抱えていることがあります。迎える側としては、団体に「この子はどういう経緯で保護されたのか」を遠慮なく聞いてみてください。経緯によって、慣らし方や最初に気をつけることが少しずつ違います。当サイトでは飼い主都合で手放された犬や多頭飼育崩壊出身の犬について、出自別に準備のポイントをまとめています。もう一つ、譲渡までの滞在期間が長期化しているという数字は、「1年以上シェルターにいる犬」が珍しくないことを意味します。長くいる犬が問題のある犬というわけではなく、シニアだったり、持病があったり、人に慣れるのに時間がかかったりという理由が大半です。譲渡会で「この子はもう長いんです」と聞いたときに、それを敬遠する理由ではなく、その子のことをより詳しく聞くきっかけにしてもらえたらと思います。

長野県で「社会福祉と動物愛護管理の連携」をテーマにした研修会

長野県社会福祉協議会が、行政の動物愛護担当や高齢福祉担当、地域包括支援センター、民生委員などを対象にした「第2回 社会福祉と動物愛護管理の連携のための研修会」を10月19日(松本市)、20日(伊那市)、22日(長野市)に開催すると発表しました。多頭飼育やセルフネグレクトといった生活課題が複雑化するなかで、「支援を頑なに拒む飼い主」や周囲からの非難にどう向き合うかを、ケース検討を通じて学ぶ内容です。同様の研修は令和6年度から続けて開催されています。

出典:長野県社会福祉協議会・2026年9月8日

HOGOINU LANDの視点:対象が福祉や行政の職員向けなので、一般の方が参加する研修ではありません。それでもここで取り上げたのは、「多頭飼育崩壊は動物の問題である前に、人の暮らしの問題である」という考え方が、自治体レベルで実務に落とし込まれつつあることが分かるからです。環境省は2021年に「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン」を策定し、社会福祉部門と動物愛護部門の連携を呼びかけていますが、それが実際の研修プログラムとして地域で回り始めています。上の白書でも、多頭飼育崩壊の相談ルートの約半数は「飼い主本人」ではなく「近隣の苦情や通報」「ケアマネジャーや民生委員」など周囲からの連絡でした。つまり、近所で気になる飼育状況があるとき、最初の窓口は動物愛護センターだけでなく、地域包括支援センターや社会福祉協議会でもよい、ということです。保護犬を迎える立場の方にとっても、こうした仕組みを知っておくことは、いつか自分の周りで困っている人と犬を見かけたときの助けになります。

熊本県、地震の影響で愛護月間イベントは中止、9月27日の休日譲渡会は開催

熊本県動物愛護センター(アニマルフレンズ熊本)は、令和8年熊本地震の影響により、9月26日・27日に予定していた動物愛護月間イベントをすべて中止すると発表しました。一方で「多くの保護犬・保護猫が新しい家族を待っている」として、9月27日(日)10時から12時の休日譲渡会のみ予定どおり開催します。予約は不要で、当日の施設見学はできません。また、被災した飼い主向けに獣医師会による無料の「ペットの健康相談会」が9月6日に八代市で開かれ、今後も熊本市、宇城、氷川地域を巡回して実施される予定です。

出典:熊本県動物愛護ホームページ・2026年9月8日/同・2026年9月3日

HOGOINU LANDの視点:8月24日号でお伝えした熊本地震関連の続報です。発災から1か月半が経ち、センターは「イベントは中止するが譲渡は止めない」という判断をしました。災害のあとは、避難生活で飼えなくなった犬や、飼い主と離れてしまった犬が収容されるうえに、日常の譲渡活動も止まりやすいため、施設の収容数が増えやすいと言われています。今回の発表は、そのなかで譲渡の場を確保するという意思表示だと受け取っています。熊本近郊で犬を迎えることを考えている方には、当日予約不要で行ける貴重な機会です。ただし、災害後に収容された犬のなかには、まだ落ち着きを取り戻していない子もいるはずです。当日は職員の方に、その子の収容経緯や様子をよく聞いたうえで判断してください。また、遠方から「支援したい」という気持ちで見学に行くのは、今回は施設見学ができないため難しい状況です。物資や寄附の受け付けについては、センターの案内を確認するのが確実です。

環境省、令和8年度の動物愛護管理功労者表彰を発表

環境省は、動物愛護週間(9月20日〜26日)にあわせて9月25日に行う「動物愛護管理功労者表彰」の被表彰者を発表しました。今年度は個人3名で、群馬県で災害時獣医療支援チーム(VMAT)を結成し災害時の動物救護体制を整えてきた獣医師、長野県で30年以上にわたり犬のしつけ方教室や収容犬の馴化に携わり、長野市保健所での犬の殺処分ゼロに寄与してきた動物愛護推進員、能登半島地震の発災直後に動物対策本部を立ち上げ、被災者のペットの一時預かりやシェルター設置を指揮した石川県獣医師会の会長が選ばれています。

出典:環境省 報道発表資料・2026年9月11日

HOGOINU LANDの視点:3人のうち2人が「災害時の動物救護」で表彰されたことは、上の熊本のニュースと重ねて読むと意味が分かります。災害時にペットをどう守るかは、行政の仕組みだけでは回らず、地域の獣医師や動物愛護推進員のような人が平時から関係をつくっていて初めて機能します。もう一人の長野の方の功績には、「保健所に収容された犬の馴化や譲渡適正の向上に協力」という記述があります。殺処分ゼロという言葉はよく聞きますが、その裏側には、収容された犬が人に慣れて譲渡できる状態になるまで、根気よく関わる人がいるということです。保護犬を迎えるということは、そうした人たちの手を経てきた犬を引き継ぐことでもあります。譲渡会でこの犬がどんな人に世話をされてきたのかを聞いてみると、その子の「いま」がなぜそうなのかが少し見えてきます。

NHK「子犬が家にやってきた!」で保護犬ウィズの1か月を放送

NHK総合の「子犬が家にやってきた!」で、保護犬の子犬ウィズを迎えた神奈川県の一家に1か月密着した回が9月10日に放送されました。犬を飼うのが初めての家族が、トイレの場所を覚えてもらえない、食事のタイミングが分からないといった日々の戸惑いを乗り越えて、子犬が家族になっていく様子を定点カメラで追った内容です。北海道・近畿・九州沖縄地域では9月17日(木)23時からの放送予定で、番組ページでは配信情報も案内されています。

出典:NHK 番組公式ページ(2026年9月10日放送)

HOGOINU LANDの視点:今週のなかでは一番やわらかいニュースですが、「保護犬を迎える」というテーマが、動物愛護の番組ではなく一般向けの家族ドキュメンタリーの一回として放送されたことに意味があると思っています。ペットショップで買った子犬と同じ枠で、保護犬の子犬が「うちにやってきた」と語られる。それが自然なことになってきています。番組で描かれているのは初めての子犬育ての大変さで、これは保護犬に限った話ではありません。ただ、保護犬の場合は「最初の1か月」に加えて、迎える前の経緯によって気をつける点が少しずつ違います。子犬でも、生まれた環境や親犬との過ごし方によって、人への慣れ方に差が出ることがあります。テレビで見て「うちも」と思った方は、その気持ちを大事にしつつ、譲渡元に「この子はどこで生まれて、どう過ごしてきたのか」を聞くところから始めてみてください。

福井県で繁殖施設の犬十数匹を県動物愛護センターが保護、動物愛護法違反の疑いで捜査

福井県では、県知事の登録を受けずに子犬を販売した疑いや、病気の犬に治療を受けさせず衰弱させた疑いで、福井市の男性(59)が動物愛護法違反の容疑で逮捕されています。福井署は9月10日、犬が飼養されていた永平寺町の施設を家宅捜索しました。施設内には30匹ほどの犬がいたとみられ、うち十数匹が押収され、県動物愛護センターに引き渡されて保護されたと報じられています。なお、この件はいずれも容疑の段階であり、事実関係は今後の捜査で明らかになるものです。

出典:福井新聞・2026年9月10日

HOGOINU LANDの視点:逮捕や捜査そのものについては、容疑の段階ですので、ここで是非を述べることは控えます。ただ、保護犬を迎える方に知っておいてほしいのは、「繁殖施設から行政に保護された犬」という経路が実際にあるということです。今回のように捜査や行政指導をきっかけに施設から引き出された犬は、上の白書で「多頭飼育崩壊の発生場所」の1割強がブリーダーだったという数字ともつながります。こうした犬は、人との生活経験がほとんどなく、ケージの外の世界や散歩、家の中の音に慣れていないことがあります。また、繁殖に使われていた成犬の場合は、体の状態を獣医師にしっかり診てもらうことが最初の一歩になります。当サイトの繁殖引退犬を迎える準備では、こうした出自の犬を迎えるときの考え方をまとめています。今回保護された犬たちが今後、譲渡の対象になるかどうかは、センターの発表を待つ必要があります。福井近郊の方は、県動物愛護センターの譲渡情報を定期的に確認してみてください。

今週のニュースから ― 保護犬の背景にある「人の事情」を知る

今週の6本を並べてみると、共通しているのは「犬の話をしているようで、実は人の話をしている」という点です。福井の事件も、犬を「商品」として扱う人の側の事情が、結果として犬の行き場を左右した例と言えます。テレビで描かれた「初めての子犬育て」も、家族の側の戸惑いと成長の物語でした。白書が示したのは、保護依頼の最大の理由が「飼い主の高齢化や入院・死亡」であるという現実でした。長野県の研修会は、その現実に対して福祉の側から関わろうとする動きです。熊本の譲渡会は、災害という人の暮らしの危機が犬の行き場を左右することを示し、環境省の表彰は、その危機のときに動ける人を地域で育ててきた人たちを讃えるものでした。

保護犬を迎えようとしている方にとって、これは何を意味するでしょうか。一つは、「保護犬=野犬や捨て犬」というイメージを一度手放すことです。いま譲渡会にいる犬の多くは、誰かの家で暮らしていた犬です。飼い主が入院した、亡くなった、面倒を見きれなくなった。その事情は犬のせいではありませんし、犬に問題があるから手放されたわけでもありません。むしろ人と暮らした経験があるぶん、家庭に馴染むのが早い子も少なくありません。ただし、急に環境が変わった戸惑いは確実にあります。以前の飼い主を探すような素振りを見せたり、最初の数週間はぼんやりして見えたりすることもあります。それは「慣れていない」のではなく「頑張って適応している最中」です。当サイトの慣らし・トラウマケアの基本でも書いているとおり、迎えた直後は「何かをさせる」より「何もしない時間を一緒に過ごす」ほうが、その後の関係を作りやすくなります。

もう一つは、迎えたあとの自分自身のことです。白書の数字を裏返せば、いま犬を迎える人も、10年後、15年後には「高齢の飼い主」になります。犬と暮らす期間は10年から15年ほどになることが多いですから、迎える時点で50代なら、看取るころには60代後半から70代になっています。これは犬を迎えるべきでないという話ではなく、「もし自分に何かあったとき、この子をどうするか」を、迎える前に一度考えておくことが、いちばん確実な多頭飼育崩壊の予防策だという話です。家族や友人に「万一のときはお願いしたい」と伝えておく、譲渡元の団体に「何かあったら相談してよいか」を確認しておく。それだけでも、犬が二度目の保護を経験する可能性はぐっと下がります。私たちも千葉で犬の施設を運営するなかで、飼い主さんの入院や施設入居をきっかけにしたご相談をたまにいただきます。そのたびに思うのは、事前に一言でも話しておいてくれていれば、犬にとっての混乱がずっと小さくて済んだのに、ということです。

動物愛護週間が今週末から始まります。全国で譲渡会や啓発イベントが開かれる時期ですが、今週のニュースを読んで感じたのは、「かわいそうな犬を助ける」という気持ちよりも、「人の事情で行き場を失った犬を、次の暮らしにつなぐ」という視点のほうが、迎える側にも犬にも無理がないということです。譲渡会に足を運ぶときは、その子の経緯を聞くこと、そして自分の側の「もしも」を考えておくこと。この二つを持って出かけてもらえたらと思います。

なお、9月7日号でお伝えした動物愛護週間の地方行事については、週間が始まる前のため、今週は各自治体からの新たな実施報告はありませんでした。週間終了後に各地の報告が出てくると思いますので、今後の動向はまたこちらでお伝えします。

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